経営概要
令和2年度、水稲8ha 、ブロッコリー3ha、 さつまいも50a、オオカブ40a 、加工ワサビ20a、1年中農作業がありますが、5.6.7月は比較的少ない。
トラクター、田植機、コンバイン、トラクターでの施肥畝立機、移植機、ハイクリビーム、管理機などの機械作業が多い。一方、12月から3月までは、ブロッコリーの収穫・出荷の手作業も相当あります。
令和3年度は、水稲12ha、ブロッコリー4ha、さつまいもとオオカブは少し増加し、加工ワサビは、10aに減らします。水稲は、リタイア農家から農地を引き受けるために増加しています。農地は作付けしないと草が生えて耕作放棄地になります。できるだけ引受けています。
年間農作業計画
大規模複合農業なので、作物別に年間作業計画を作成します。
水稲では、播種・育苗とともに同時並行してトラクターの耕うんめ代かき、田植、水管理、防除、刈取とか 品種ごとに計画を作成します。田植が4月、刈取が8月に集中します。水稲でも4区分で、栽培しています。早いものから遅いものまで、作業を分散させています。その作業は、どの農地なのか、面積とか農地への入り方とか、用水排水は、頭に入れておきますが、面積が多くなったので、今後はタブレットで確認できるように進めています。
ブロッコリーは、水稲の後の農地を細かく耕うん、そして施肥畝立てを行い、移植をします。ブロッコリーは、冬の収穫がメインです。寒いと甘くておいしくなります。栄養価も高く、食べやすく今最も人気のある野菜です。生産量も消費量も毎年伸びています。出荷は12月から3月を毎年計画しています。収穫後すぐ荷造りし、氷詰めにして出荷します。ブロッコリーは、播種から収穫までの日数が種類によって大きく違います。95日、110日、140日とかそして播種日を変えることと品種を組み合わせることで、12月から3月まで収穫できるように計画にします。9月から10月に移植すると11月までぐんぐん大きくなります。12月から頂花蕾ができ始めます。
収穫荷造りは、手作業が中心ですし、最も作業コストがかかりますので、どうやったら人役を削減できるのか、大きな課題です。また、加工ワサビは、荷造りに更に手間がかかります。農産物全般で、荷造りでの賃金コストは非常に大きい。オオカブとさつまいもベニハルカは、加工用なので、洗浄しませんし、選別もほとんどありません。収穫荷造り経費は少ないです。また、運搬などできるだけ機械を使ってやれるように検討しています。
生育・観察・天気
作物の生育ステージに応じた作業は、天気の影響を受けますし、やるべきことも変わります。病気はないか、昨年と同様な生育か、乾燥しすぎていないか、肥料は切れていないか観察します。また、生育状態や土地の状態によって、直ぐにやるべきことも出てきます。日々の観察も重要。明日の天気、一週間天気、一か月予報などで、作業を計画、時には修正もし、実行します。節目節目で、生育状態を整理して協議検討し、作業を決めていきます。
経営方針としてのPDCAへの取組、作業工程管理、ZGIS、GAP、スマート農業
- PDCA 計画/実行/検証/再計画・・・このサイクルを毎年回していきます。
- 作業工程管理 作業を分解して、それぞれの効率化と全体の効率化を図る
- ZGIS 農地情報と作物情報を整理し、栽培計画や結果の情報を整理するシステム。
- GAP 農業生産規範等、特に労務安全や人権保護を中心に取り組む
- スマート農業 ICTやGPSなどを利用した農業
これらのことは、取組んでいることもあれば、今後取り組んでいきます。
PDCA
PDCAとは、詳細な計画を作成、協議検討して、実施。農業は、結果が出るまで数ヶ月こともあるし、作業結果の出来具合で改善も行います。
来年は、どのようにすべきかを考えながらを検証する。良い成果を求めて、PDCAサイクルを回していきます。
水稲やブロッコリーでは、20回を超える話し合いを行っている。働く皆さんに作業の仕方や目的を理解してもらい、作業の中で気づいたことを話し合い改善に取り組みます。
もう一点、作業工程管理に取り組んでいる。特にブロッコリーの収穫から出荷までの各工程を整理・検討して、効率化を図っています。小さなことにこだわりすぎると作業時間が掛かります。毎年、改善して作業時間は削減できています。
加工ワサビの収穫荷造りは、一年目は、多くの賃金が掛かり大赤字でした。先進事例を研究し、作業工程ごとどうすべきか決めました。小さいものは、捨てるを徹底して効率化できました。捨てるということは、悪いことという観念にとらわれては、いけない。整理整頓もまずは、捨てるから始まります。すべての農作業も工程ごとに整理し、やり方を決めています。丁寧にしすぎて時間が掛かってもいけないし、早くて雑になってもいけない。突き詰めれば、意外と複雑です。
ZGIS/経営管理システム
タブレットどの農地に何を作付けしているか、どんな作業を計画しているかを地図情報とともに利用できるZGISを利用します。タブレットによって、各自が紙ベースでなく、ZGISを通して、確認することができ、また、結果を入力することで、最新のデータにすることが可能になる。経営管理のシステムとして、農地と作物・作業とその状態を確認する重要ツールです。
また、ZGISの情報をタブレットで利用することで、働く仲間が情報を共有化することが容易になる。農地の出入り口の情報は、労働安全として重要、農地の形や大きさは、作業の効率化や収穫量でとても重要です。
数値・地図・映像で確認して進めることが、人材育成・収益性向上に大きな効果があると思っています。
我々の地域は、圃場整備がされていないので、ほ場は狭く歪なものも、農地へ入る道もない場合もあります。狭い農地は、使いづらいし、収益が低くなります。できるだけ引受けないようにしています。昔は、農地を投資として考える方もいましたが、今は負債です。使われなくなったら大変です。タブレットで農地の状態を確認することは、作業を混乱なくするためにとても重要です。
GAPへの取組
GAPへの取組は、労働安全や働く方の人権保護を重視し、取り組むこととしている。もちろん食品の安全ためにも取り組んでいますが、守りの経営姿勢です。トラクター、ハイクリビーム、田植機などの大型農機は、労働安全が最重要です。農機事故、農機の故障は、経営に大きく影響します。人手の減、作業の中断、いろんな手続きの発生など多大の損失をもたらす。
でも、人を大切にするためには、事前の情報提供と注意喚起により発生を防止することを重視します。施肥畝立て時に、肥料が出ていないとかがあった場合、大きく減収になります。機会を使った農作業は、ゆっくりと安全に確実に実施することが、重要で、見えないミスを防ぎます。
農業の場合、慌てない守りの姿勢で、栽培の成績を安定させることを重要視します。農薬の利用などでは、安全安心の農産物のためには、マニュアルを再確認し実施すべきです。栽培マニュアルや農地ごとの対応の仕方などの情報を整理し、組織として栽培の安定を目指していきます。
作業の記録を徹底して行います。今は、黒板に記入していますが、将来はタブレットに入力することになるのでは思います。自分たちで、約束したことが守られているかチェックします。
GAPへの取組は、農作業の安全、農産物の安全とともに、法人経営の安全装置でもあり、また、農作業は、我慢だ・辛いといった精神論から脱皮をする指針でもあります。よく昔はこうだったとかいわれる農家が多い。朝から晩遅くまで働き詰め、それが農業だというイメージでした。我々は、事前に効率的に混乱なくする準備をして、農作業に取り組みます。農作業もつらいこともありますが、それを最小限にするための検討を続けていきます。
スマート農業
露地野菜に限らず、水稲でも、生産性を上げるために、課題を解決するために新しい技術が必要です。
GPS、ICT、電子機器の利用が進んでいます。新しく雇用する若い方々に、強く期待するところです。
我々は、取り組める環境を順次、整えています。
- タブレットによるZGISの利用は、情報の共有化ができ、組織としてとても重視しています。
農地情報を含む経営管理システムとして、ZGISは、全農に係わるもので多くの情報も入手できる。
天気のこと、農薬や肥料のこと、市場や他産地のこと、栽培技術のことなどいつも情報を求めて、改善すべきことはないか探しています。 - GPSによる直進機能を持つ田植機を導入しています。新規就農者もベテラン並みにまっすぐに植えることができます。肥料・各種農薬も同時に散布している。
- GPSによる直進機能を畝立て施肥を行うトラクターに付ける予定です。畝立てがで150㎝にきっちりとできますし、施肥もGPSで正確に散布できます。
- ドローンの映写によって、ブロッコリーの状況を映像で確認することを計画、害虫、病気の発見、頂花蕾の成長状態を確認できます。また、働くみんなが、ドローン映像で生育状態を共有できる。
この付近は、肥料が少ないみたいとか、原因は何かとか。水稲で今、困っているジャンボタニシの被害、移植時に薬を散布しているが、薬の効果が弱まり、部分的に、稲の葉を食べられてしまう。すみっこがやられたりするので、分かりづらい。ドローン映写を行うことで、早めにジャンボタニシの発生を確認し、素早い対応をすることができる。この映像をタブレットで見ることで、容易に情報の共有化もできる。 - コンバインは、その農地でのモミの量を記憶できるようになった。農地の管理情報と合わせて、分析することができる。施肥量、坪本数、1株の本数とか、生育期間温度や日照などの情報と合わせて、検証、次年度計画を作成する。
- 地球温暖化によって、線状降水帯がたびたび発生する。予測に対して、早い対応が重要です。また、我々も迅速に詳細な予報を見れるように、社員が共通認識持つべきである。
排水対策が重要です。ブロッコリー農地、オオカブ農地は、長い時間冠水状態になると根腐れやいろんな病気になりやすく、影響を受ける。排水口から一気に雨水が出るように準備していても、
多くの雨が降った時は、農地を見回り、排水の世話をしている。 - 暖冬、温暖化は、農産物に大きな影響を及ぼしている。